小田原を縦断する酒匂川の上流部に位置する丹沢湖、さらにそこへ流れ込む世附川の流域を含む山北町や静岡の御殿場に降り続けた雨は、24時間で平年の月の1.6倍の降水量にまで達したというから驚きだ。他にも小田原港の横を流れる早川の上流、箱根町にも豪雨は降り、その雨水は容赦なく川から海へと流れ込んだ。
酒匂川では土砂、流木、さらには車の流出や中洲に取り残された人まで発生、一部流域では増水に対する避難勧告まで出るなど大きな被害をもたらせた。
そんな台風の過ぎ去った後の海は、茶色に濁り、多くの川水が流れ出した事がよくわかる。当然、流れ出たのはゴミだけではなく、川にいた生き物たちも流される事となる・・・。
「スッポン」・・・である。
かつて中国産のスッポンや九州産のスッポンを仕入れ、販売している光景は見た事があるが、定置網で地の魚と一緒に獲れたなんて話は聞いた事がない。当然、川の生き物であるし、初めは目を疑ったが、まさしくこの亀頭はスッポンのそれであった。
魚市場にて計量後、海から来たという事で海水に入れたが、スッポンは淡水だろうとの声により、真水に入れられ、元気は見事回復したのであった。
ちなみに山北にはスッポンの養殖場があるという事だが、川からは結構な距離があり、この個体は川に生息していた天然由来の個体と考えられる。
こちらは「岩定置」で獲れた「アユ」である。
春先、海から川へと上がる直前の稚鮎が沿岸の定置網や港内を泳ぐ姿は目撃されるが、この時期、落ち鮎直前の個体が海で、それも定置網に入るなんて、こちらも滅多にない珍事であるといえるだろう。
黒っぽい天然の個体と放流の個体も混じりざっと1キロ以上。他にも「二宮漁場」や「江の安定置」にも入網が確認されており、広く、多くの川から流れ出した事が想像される。
友釣りで一日粘っても数匹しかつれないという昨今、これだけまとまった天然鮎が魚市場で、それも回りものではなく、地元の定置網に入るなんて・・・。これはこれで記憶に残る一日となった。
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