これから水族館に連絡をして、取りに来てもらうらしい。さすがのチームワーク、手回しが早い。朝の漁師からの第一報に半信半疑でいると、かの魚が運ばれてきた。
ホテル三日月といえば「竜宮城」だが、こちらの竜宮は、満月の一歩前で漁獲された事になる。
おお、全長2メートル弱はあろうか、確かに活きているようだ。円形の12トン水槽に入れ、様子を見る。入れた直後にはヒレやエラを動かし、確かに活きていることは確認できた・・・しかし、その命はあまりに儚かった。
体の後半部分に、残念にも外傷と骨折が見られ、それが致命傷かは定かではないが、活かして展示はどうやら無理そうだ。しかし、赤く長く伸長する背びれや腹びれもよく残り、体の銀も綺麗に確認できる。表面は意外にもザラザラとして、こうしてみると「タチウオ」とは全く異なる。昨年の1/18に獲れた「サケガシラ」と似た感触だ。この紅色と艶っぽさは「緋牡丹博徒」のお竜にも負けず劣らない。
ちょっと待て、一年前にも似たような魚が獲れてるって事?
たまにあるんだよね、こういう事。歴史は繰り返すというか、季節はめぐるというか。ここで流れる松山千春「季節の中で」。
調べてみれば、「岩」の定置で「テンガイハタ」が獲れたのも2002年の1/10(参照コチラ)。数年前には2月中旬に「ミンククジラ」が2年続けて獲れたこともあった。
してみれば、1月の中旬は「深海珍魚マニア」にとっては見逃すことの出来ない、パワーアップウイークになると言うことだ。

古くからこの魚の出現は竜宮伝説や人魚伝説、はたまた大地震の前触れや吉兆として語られることが多く、謎の多い魚であります。研究するにしても多く獲れる魚ではありませんし、大変貴重な魚として扱われることでしょう。


今回、こちらの「リュウグウノツカイ」は活きたままの展示は叶わず、まことに残念。それでも次もまた獲れるようなことがあれば、また是非チャレンジしていただきたいと思います。
ちなみに、結局個体は「新江ノ島水族館」の方が来られ、最寄りの入生田にある「神奈川県立生命の星・地球博物館」へ研究材料として提供されたようです。今後、標本になるか、剥製になるか、などの詳細は不明です。
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活リュウグウノツカイですか。私ら素人には絶対に触れられない魚だな・・・・
一度くらいは触感とか口の様子やらエラブタの様子やらをじっくりと観察したいけどなぁ。標本の色あせた水ぶくれの土左衛門みたいのじゃこの魚の魅力伝わらないよな、絶対。
この大きさの魚体がきれいに泳ぐ姿を見てみたかった気もしますが、さすがに深海から揚がってきた魚には無理なのでしょう。それは次回への夢と致します。
あと、ついでに胃の中も見てみたかったね。