おおっ、思わず久しぶりの出会いに声が出た。
軽く5年ぶりくらいだろう(すれ違いもあっただろうが)。
秋の海にひょっこり現れる珍客。しかも毎年は現れず、忘れたころにやってくる変な魚である。
「クサアジ」とは妙な名前であり、「アジ」の仲間でもなんでもないのであるが、見た目がなんとなく「イトヒキアジ」や「ヒラアジ」の系統に似ているからついた名前であろう。
仲間としては、大きく分けてアカマンボウ目に属しており、マニア垂涎の珍魚グループ・アカマンボウ属の中では最もポピュラーというか、最も遭遇する確率が高い魚であるといえるであろう。
本当はもっと扇のように広がる大きな背びれが美しいのだが、もはや三軒長屋のボロ障子の様に穴だらけになってしまっている。
「カワハギ」や「イサキ」などと混獲された為であろうか、鱗もほとんどが剥がれてしまい、本来の輝きは体表の端にわずかに残すのみである。その貴重な姿はまるで、敦煌の莫高窟壁画を思い起こさせる。
次はいつ、魚市場に姿を現してくれるのだろうか?
意外によく泳ぎ、以前獲れた時はよく泳いでくれた。
今度はまた、活魚でお会いしたいものだ。
あ、ちなみに食した人の感想によれば、「まあまあ」だったそうです。
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