魚市場より愛を込めて登場した「巨大アカムツ」。まさに魚界のダイヤモンドは永遠に。
目方で1.8キロ。堂々の迫力。輝く瞳はゴールデンアイ。
小田原の刺し網に掛かったこの美しき獲物たち。
え?獲物たち?なぜに複数形?
それは口の中を見れば分かります。
うわ〜、牙が凄い。怖い〜・・・と言ってる中からジッとコチラを見る眼・・・。まさにリビング・デイ・ライツ。何?この消されたライセンスのような、日陰に生きる生物は?
まさに、これぞ知る人ぞ知る「アカムツ」の定番、ユア・マウスズ・オンリーの存在感。
その名を「アカムツノエ」。つまり「赤鯥之餌」と申します。立派なゴールドフィンガーの持ち主でした。
魚の口の中にいて特に悪さをするでなく、宿主の食べたおこぼれを頂戴して生きる、賢くも強かなムーンレイカーでしかありません。もちろん人にとっても危険は無く、人畜無害にして毒ターノオの哀れな寄生虫なのですから。
ちなみに良〜く見ると口の奥(右側)に小さい「アカムツノエ」も居るのがおわかりになるでしょうか?エラの隙間に申し訳なさそうに隠れているコチラが、オスになります。つまりは、口の中の最前列、アリーナ席に陣取っているのはメスということになります。そう、女王陛下の007。
この生き物は、口の中の一軒家に必ずペアで寄生しており、ワールドイズノットイナフとばかりに次々と子供を産んではその幼生を海中へ放出し、周辺海域に子孫を繁栄させているのであります。ですから群れる魚の場合は、その多くに寄生している場合があります。
さて、この「アカムツ」を締める際には、死ぬのは奴らだと言いたげに氷水へ漬け、臨終を確認しました。つまりは魚と虫で、007は二度死ぬ。
その後、少し時間を置くとパシーと身も締まり、魚の状態は最高潮。それから、せめて漁師の慰めの報酬になってくれればと競りに上場。勝つか負けるか、まさにカジノ・ロワイヤルの世界。
その結果は、一発値を出した買受人のす買いフォール勝ちと言うところでした。もう少しするかな?と思ったのですが、案外だったのは「アカムツ」を愛した買人がいなかったということなんですかね。
ぐぬぬ。
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