ネズミのような顔を持ち、ビー玉のようなギョロ目に肌はつややかな銀色一色。
ヒレは大きく、泳ぐ姿はまるで低空飛行するかのよう。
その様子からキメラの学名もある珍魚の一種で、比較的深い海に生息するという魚。
見た目のまんまで「ギンザメ」と呼ばれるが、軟骨魚類であるという以外は「サメ」や「エイ」の仲間と異なる多くの特徴を持ち、軟骨魚類の中でも少数派勢力ギンザメ目ギンザメ科を構成する。
仲間には「ゾウギンザメ」や「テングギンザメ」といった奇妙な形態を持つ種類も知られており、深海魚マニアの間では、「ギンザメ」というと定番以上の安定の人気を保っている魚でもある。
味については、西伊豆・戸田で駿河湾の深海魚を食べさせてくれる食堂があるそうだが、そこで「深海魚丼」として(漁獲次第で)食べられると聞いたことがある。特に美味しくもなければ、まずくもないという。
ちなみに銀座では食べられないと思われる。
今回獲れたのは国府津沖の刺し網である。場所的には相模トラフの最北端と言える地点であり、深場から上がってきた所である。今回獲れた二匹は雌雄であり、もしかしたらペアリングしていたのかもしれない。相模湾から伊豆に至る一帯では度々、刺し網や定置網に掛かることが知られており、生体で市場に運ばれてきた事も数回ある。しかし、そのどれもが深場から上がってきた身体的負担から長生きはしないようだ。
小田原では、銀色の魚体に黒い縞模様があり、その見た目から「カツオザメ」と呼ばれている。こちらはなかなか的を射た納得の呼称だと思わないだろうか?
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