
おそるおそる手を伸ばし、チラリと拝むご尊顔。

ここにたどり着くまで長い距離を旅してきたとはとても見えない柔和な薄笑いに癒されつつも、両生類かは虫類にも見える大きな口と大きな頭を持ち、本当に魚なのか疑いたくなる容姿をしている。
大きな胸びれが特徴で、胴の詰まった「アナゴ」のような体つき。黄色と黒の微妙な迷彩模様に飾られたその体は、その移動距離を物語るようにやせ細っており、まるで美味しそうに見えない。
「岩」の定置網で獲れたのだが、到着時はすでに息も絶え絶え、水に入れたとたんの絶命と相成った。
これまで見た事の無かった魚であるが、分布は日本近海を見ても意外と広く、太平洋側なら相模以北にいるようである。100メートル前後の深めの海に生息しいるそうだが、普段いればもっと網に掛かっても良さそうなものを、今まで見た事無かったと言う事は、やはりどこからか回遊してきたと見るのが正しいのだろうか。
これが続くようなら気味が悪いが、年に一度の珍客訪問なら普通に驚いて終わる事が出来るだろう。
よくここまで泳いできてくれました。
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