ついつい土地のように手で転がしながら
「イラちゃん」と呼んでしまう悪い癖
「はぁ〜い」と返事するのは「イクラちゃん」
「ばぶ〜」と返事するのも「イクラちゃん」
その姿は、まるで肩パッドの入ったピンク色のバブルスーツ
「OKバブリ〜!」な香りがするのは、そう「イラちゃん」
太めの眉毛に派手めのアイシャドー、ショルダーホンを思わせるズッシリとした重み、羽付き扇子と見紛う大きめの胸びれ。あまりに目立つため、もはや「マイナー地魚番付」にもランクしない「ぶっとび」方。
かつては、多くの漁師さんに「ブダイ」と呼ばれており市場の選別も一緒くたで「おったまげた」ものだ。「W浅野」ならぬ「Wブダイ」とでも言うつもりだったのだろうか。
しかしよく見ると、噛まれると「ケツカッチン」しそうな大きな牙の生えた口は、「ブダイ」の板状の歯とは異なり、また食性も異なることから身質や食味も異なっており、色目の鮮やかさも相俟って、その違いはその後、値段の違いとなり、漁師さんもその違いを認めることとなった。
その昔は「マイナー地魚」の一角であった彼女も、今では活魚売り場のお立ち台に立つ「女王様」となったのである。その意味で女城主「井伊直虎」の略でもイイかもしれない。
知っている人は知っているのだ、この魚の美味しさと違う意味での「オイシサ」を。
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