シラス漁師。
陸に上がれば、
ミカン農家もこなす−−
百の顔を持つ男、
そんな和田丸が今日、
魚市場に持ち込んだのは、
見る者すべての目を奪う、
輝かしい一尾。

その名も−−
「黄金ヒラメ」。
県立海洋科学高校が開発した
「湘南ゴールドヒラメ」は、
柑橘の「湘南ゴールド」を餌に育てた養殖魚。
しかし、
和田丸の「黄金ヒラメ」は違う。
彼自身がミカン農家でもあるからこそ、
海と陸の境界を超えた奇跡の産物。
そのヒラメはみかん色

いや、金色に光るウロコを輝かせ、
一部にヒラメ本来の褐色を残す。
だが、
そのわずかな色むらこそが
まるでワビサビの美学を
宿しているかのよう。
完璧ではないからこそ、
より一層、
その存在感が際立つのだ。
金は古来より、
人々を魅了してきた。
その希少性、
その輝き、
その価値。
そして今、
海の宝石とも呼ぶべき
「黄金ヒラメ」は、
魚市場に新たな伝説を
刻もうとしている。
近年の金相場の高騰を受け、
この「黄金ヒラメ」の価値もまた、
どこまで跳ね上がるのか。

歓声と溜息が
入り混じることだろう。
和田丸の完璧な技と、
「黄金ヒラメ」の
まばゆい光彩。
この春、
小田原の港にまたひとつ、
夢と希望が押し寄せた。
実際は競りに掛らず
行き先はコチラ
.
【関連する記事】