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2025年04月30日

特大イタチザメ


それは、風の強い夜が
明けた朝のことだった。

相模湾を南から舐めるように
通り抜けた黒潮のうねりに乗って、
あの男はやってきた。

背中に彫られた唐獅子牡丹。
どこか憂いを含んだ斑模様の刺青。

まるでその身に抱える
哀しみを隠すように、
濁った海底を這い、
獲物も目撃者も残さず喰らい尽くす。
20250430_itachan2.jpg
その名を「イタチザメ」。
男の中の男、
外道中の外道

まさに魚界の極道である。

数年前、
傷だらけの若造だったあの男が、
今回は2メートルを優に超える
巨体を引っ提げての帰還。

牙を研ぎ、世を睨み、
再びその姿を
我々の前に晒すことになったのだ。

今朝、小田原沿岸の刺し網に掛かったこの漢。
あまりの巨体に、
漁船は「こんなもん積めるかよ」と降参。

20250430_itachan1.jpg
そこへ現れたのが、
二宮定置の捜査4課、通称「マル暴」
彼らは男の存在を聞きつけ、急行した。
まるで敵に塩を送るかのように、
彼の命を、否、魂を受け取って
港へと運び込んだのだ・・・

これは逮捕だったのか、
それとも最後の舞台を用意する為の
「仁義」だったのか?

漁船のクレーンに
吊られたその姿は、まさに圧巻。

伸びきった胴、黒く鋭い眼光、
鈍く光る肌は、
まるで夜の闇をたたえている。

近寄る者に威圧感を与え、
触れる者に迷いを与える。

かつて「食物連鎖の番外地」とまで
言われたその魚は、
今や「海の狂犬」として、
畏れられる存在へと変貌を遂げていた。

「イタチザメ」
その名を聞けば釣り人は背筋を伸ばし、
漁業者は眉をひそめる。
網は破られ、獲物は喰われ、
時に船さえ傾かせる。

だがそれでも、
どこか惹かれる“哀しき渡世”の匂い。

20250430_itachan3.jpg
腹の中に何を抱えていたのか。
夢か、怒りか、ただの空腹か。
(実際はイシガキフグやらネズミフグ?)

そこから見えるのは
彼の過去か、罪か、
それとも海の真実か・・・?

まもなく彼は、最後の花道を迎える。
その身を晒すことで語られる、
壮絶な海の生き様。

今日、魚市場に現れたのは
ただのサメではない。
それは一匹の“侠(おとこ)”

まるで一遍の任侠映画を観た満足感が
そこにはあった・・・

ちなみにイタチを漢字で書くと
「鼬」
そう、ネズミが入ってますね🐭

2017年12月19日の
「イタチザメ」の記事はこちら

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posted by にゃー at 17:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ギョッ!魚だらけの水泳大会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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