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2025年08月02日

魚市場はジャズだ

小田原魚市場水揚げ概況

「米神」定置:休漁
「石橋」定置:小イサキ混 680キロ、アジ 110キロ、ジンダ 100キロ、サクラエビ 40キロ
「 岩 」定置:休漁
「原辰」定置:休漁
「江の安」定:休漁
「二宮」定置:ジンダ 260キロ、アジ 210キロ
「福浦」定置:休漁
「大磯」定置:休漁

東方面からは、
「江の島網」:ジンダ、ムツッ子 ほか

伊豆方面からは、
「富戸定置」:オオニベ 400キロ ほか
「川奈定置」:スマ 190キロ、ヒラソウダ 140キロ、カンパチ 100キロ、オキザヨリ 70キロ

今朝は休漁の漁場が多く、スタートは静かに幕を開けた。
この沈黙は偶然ではない。抑制された出だしこそが、その後の展開を際立たせるための伏線であり、静寂のなかで魚市場の空気はじわじわとテンションを高めていった。
まず口火を切ったのは「石橋」。軽やかなリズムセクションが響く。
20250802_selection.jpg「アジ」と「ジンダ」が刻むテンポは規則的で、まるで低音域を支えるウッドベースとドラムのよう。
そこに添えられた「サクラエビ」の鮮烈な赤は、トランペットが一音を響かせるかのような華やぎを添え、短くも印象的な旋律を奏でた。まるで古典的ビバップの手法。しかし今朝の水揚げでは、この華やかさが限界でもあった。
そこへ伊豆から届いたのが、最大のアンサンブル。
「富戸」の「オオニベ」は、コントラバスの重低音そのものであり、今朝の流れを一気に転調させる存在感を放った。
さらに「川奈」からは「スマ」「カンパチ」「オキザヨリ」と、夏らしい魚種が次々と登場。それらの動きは、まさにウエストコースト・ジャズのごとく、サックスやエレクトリックピアノが即興ソロをリレーするような、軽快かつ洗練されたアドリブの応酬であった。
そして「石橋」の「マナガツオ」が、最後の盛り上がりを一手に引き受け、楽曲は華やかに着地していく。
20250802_mana.jpgコード進行のスピード感、構築性、そして何より地魚のフレーズが見事に噛み合い、ひとつの楽曲として昇華していく様はまさに圧巻。
しかしこの楽曲は、既存の伝統的ジャズとは一線を画す、実に斬新かつ新鮮なスタイルであった。
あえて名付けるならば「地魚即興組曲」。自由と制約の狭間に生まれる、洗練された構築美。
魚市場をひとつの即興的空間と捉えるならば、今朝の魚市場は、まさしくジャズそのものであった。
台風接近により多くの定置網が沈黙を守る中、残された限られた音(魚)だけで、一曲の洗練された楽曲が静かに立ち上がっていく。その立ち上がりからクライマックス、そして余韻へと続く軌跡は、地魚という素材の持つ可能性を最大限に引き出し、表現し尽くした魚市場セッションだったと言える。
これこそ、もはやジャンルを超えた「魚市場ジャズ」の誕生を示唆するものである。
今後も、この魚市場のセッションに、目が離せない。
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posted by にゃー at 17:18| Comment(1) | TrackBack(0) | 小田原魚市場日報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
マナガツオ上がるんですね〜 高級魚v
Posted by sealajaw at 2025年08月08日 07:48
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