いよいよ冬が本格化し、定置網にも冬枯れの気配が色濃くなってきた。
激減した「小田原アジ」、わずかに残る「ミズカマス」。あれほど賑わっていた「ソウダガツオ」の類も、今ではすっかり影を潜めている。
場内では「このまま暮れを迎えるのか」「少し寂しい終わり方だ」と、名残を惜しむ声がちらほらと。
だが、漁業は水物。ある時はある、無い時は無い。それが当たり前の世界だ。この移ろいを無情と呼ぶか、あるいは侘び寂びと感じるかは、見る者次第なのだろう。
それでも、魚市場が面白いのはここからだ。網の中から顔を出す「クエ」や「ハタ」、「カワハギ」や「シマアジ」といった「お宝」の存在が、場の空気を一変させる。
一方で、刺し網の「ヒラメ」や「ヒゲダイ」、「マトウダイ」といった冬の顔ぶれも賑やかに、決して手ぶらでは終わらない。
華やかさはなくとも、静かに厚みを増す冬の魚たち。なんだかんだと言いながら、品はきちんと揃う。だから魚市場はやめられない。
冬枯れの中にも、確かな息づかいがある。そんな冬の一コマが垣間見えた朝だった。
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