
2009年03月30日
小田原活魚 冬の魚篇
1月から3月までの冬期、地元の定置網・刺し網及び釣りなどの漁獲によって入荷した「地魚活魚」の情報です。年によって量の増減はありますが、概ね漁獲される魚種はカバーされていると考えられます。
冬の「定置網」は基本的に魚が減り、水揚げもほとんど無い日もあるくらいです。そのお陰で丁寧に活魚を網からすくい上げることが出来、良質の活魚が入荷するのもこの時期の特徴と言えます。激減する「定置網」に対して、「刺し網」は「ヒラメ」を中心とした底モノの水揚げが最盛期を迎え、他にも「マトウダイ」や「アンコウ」、「ホウボウ」など時期を迎える高級魚が顔をそろえ、一年で最も賑やかな時期となります。
とりあえず、もう明後日から4月。今年の「冬」は終ってしまいましたが、来年の定番や特売の参考資料として、メニューや食材の検討材料として、ご活用いただければ幸いに存じます。
ちなみに、こっそりとBGMで使用したのは「スラムドッグ$ミリオネア」のサントラですが、本年度アカデミー受賞映画として来月公開予定で、フラッシュバックを多用した構成は賛否分かれますが、インド独特の雰囲気と時代背景、全篇通して満ちている人間愛と人生賛歌は観ていて気持ちよく、オススメできます。
2008年12月24日
小田原名物ヌタウナギを食す

小田原魚市場で水揚げされる「ヌタウナギ」をネタにしてからというもの、ここまで常にサイト検索キーワードの上位にランクされ、直接魚市場に問い合わせてくる方も多く、あわせて漁協や漁師さんにも迷惑をかけてしまったと自戒しておりました。しかし、その魅惑的な存在感は否が応でも食味に対する興味をかき立て、もはや岸壁の七輪で素焼きにするだけでは物足りなくなってしまったのでした。
駐車場に車を停め、歩くこと数分。「こんばんは〜」と店へ入る。「いらっさいマセ〜」と美形店員(男)の明るい声に安心するも、99%韓国人客の店内は、韓国のCATVらしき番組や有線が流れ、さながら釜山か明洞に来てしまったかのよう。この店では「ヌタウナギ」のことを「目黒鰻」と称し、なんたらかんたらと説明書きがある。とりあえず定番の「コムジャンオ炭火焼き」をオーダー。他に口直しの「タン塩」と「わかめスープ」も頼み、ドリンクは「酒」がNGなので「お茶」。怪訝な顔をしながらも、ティーバッグのお茶が出てきた。
さて、注目の「コムジャンオ炭火焼き」だが、やはり美味い前に辛い。幸いにも「サンチュ」と「甘口味噌」が付いており、それらを組み合わせて食すと辛みは若干薄れ、完食することが出来た。味については、何しろ「ウナギ」が小さく、皮も剥かれているため、岸壁で焼いたときほどの噛み応えに乏しく、「ブリブリ」という程ではなかったが、「スルメイカ」のような弾力と、「コラーゲン物質」のプリプリ感は独特のものであると思う。不味くはないだろうが、何しろ唐辛子の味しかしない・・・というのが正直なところである。
ついでに「コムジャンオホイル焼き」も味わいたかったが、なんでも「炭火焼き」より辛いので、アンタは無理だとのコト。思わず返す言葉に詰まってしまった。女性なら肌がスベスベに、男性なら「これ」だと右腕を上向きに折り曲げる姿には、何百回も説明しているんだろうなあと思わせる、まるで能舞台のような完成した「型」を感じさせた。ま、とりあえず、ここの店の「ヌタウナギ」は小田原産ではないだろうが、とにかく希有な魚を「味わってみたい」という人にはオススメできる。機会があったら是非、新大久保の「クイクイ」へ!
ちなみに「クイクイ」とは「焼こ!焼こ!」という意味だそうだ。
* 食べログ http://r.tabelog.com/tokyo/A1304/A130404/13038674/
* Yahoo!グルメ http://gourmet.yahoo.co.jp/0007304357/
* クーポン付紹介サイト http://www.cocofun.co.jp/list/sub_06.html
* 他にYouTube関連動画もありました。
参考→小田原港での「ヌタウナギ」水揚げの様子
2008年11月24日
小田原魚市場資料
小田原魚市場近海課
水揚げ・取扱い実績
順 位 | 魚 種 名 | 取 扱 量 |
1 | サ バ 類 | 54トン |
2 | マ ア ジ | 27トン |
3 | ソーダ 類 | 26トン |
4 | ウルメイワシ | 23トン |
5 | カ ワ ハ ギ | 5.2トン |
6 | サ バ フ グ | 3.2トン |
12月からは、小田原で「刺し網」のヒラメ漁も始まりますが、まだまだ開始直後は少ない状態。年明けの本格化までは、量的にも少なめ。
「定置網」では「小サバ」「アジ」が中心も、「カワハギ」や「サバフグ」、他には「スルメイカ」や「ヤマトカマス」「イワシ」などが続きます。さらに季節的には「イシダイ」や「ナマコ」といった高級魚介もグーンと水揚げを増やしてくる時期になります。
月の後半は、クリスマスやらお正月やらのイベントを控え、特定の品物(ブリ、マダイなど)は動きます。しかし、多くの総菜向けの魚介の需要が激減するため、水産物の物流にある程度の偏りが発生します。年の終わりを締めくくる月でもあり、最後のまくりを決めようと魚市場としても、漁師さんも、力が入るのですが、魚の入りが悪いためになかなか上手くいきません。
冬は「これ」という柱の魚に欠ける季節であり、商売もやりにくいのですが、天然魚と養殖魚を上手に使い分け、精一杯の集荷に努め、賑やかな魚市場を盛り上げていきたいと思います。
ということで、年末も皆様のご利用を心よりお待ちしております。
2008年10月22日
小田原魚市場資料
小田原魚市場近海課
水揚げ・取扱い実績
順 位 | 魚 種 名 | 取 扱 量 |
1 | サ バ 類 | 38トン |
2 | マ ア ジ | 34トン |
3 | ヤマトカマス | 25トン |
4 | ウルメイワシ | 14トン |
5 | イ ナ ダ | 13トン |
6 | イ サ キ | 6トン |
上位6種類の顔ぶれは先月と変わりないものの、一部順番が変わっております。「サバ類」と「マアジ」が増え、「イナダ」「イサキ」が順位を下げました。また水揚げの総合計は、10月と比べると大きく数字を下げており、定置網漁の状況も徐々に冬らしい様相を呈してくることが窺われます。
ただ、去年の「サバ類」というのは、ほとんどが「小サバ」でしたので、あくまでも漁獲量として一位であって、あまり一般販売向けには参考にはならないかも知れません。
「マアジ」関連では「小アジ」が現在好調ですし、去年に引き続いて今年も「ヤマトカマス(ミズカマス)」が大漁ですので、これに拠れば来月もそこそこ獲れそうな気もしますね・・・。また「イナダ」も去年なみには獲れるんじゃないでしょうか。
これ以下の順位になるとグンと量を減らし、「スルメイカ」や「カワハギ」「アカカマス(ネイラカマス)」が続いておりますが、この辺は微妙ですねえ。「カワハギ」や「ウスバハギ(シロウマ)」は多そうですが、その年の潮流や水温、気温、天候によって大きく左右されがちですし、今年は台風もほとんど来てない異常年ですから、なんとも予想しづらいです。
2008年09月23日
小田原魚市場資料
小田原魚市場近海課
水揚げ・取扱い実績
順 位 | 魚 種 名 | 取 扱 量 |
1 | イ サ キ | 118トン |
2 | サ バ | 82トン |
3 | ヤマトカマス | 68トン |
4 | イ ナ ダ | 46トン |
5 | ウルメイワシ | 12トン |
6 | マ ア ジ | 10トン |
昨年9月の主要魚種の総漁獲数量が144トンに対し、同年10月は348トン。実に2.4倍。秋も深くなるとグーンと水揚げが増えることが、この数字からも明らかになります。
上位6傑に関しては、先月と顔ぶれは変わりませんが、多少の上下があり、中でも「イサキ」、「サバ類」の上昇が目立ちます。今年の9月はここまで、8月の「サバ・ブーム」が嘘だったかのように水揚げを減らしておりますので、10月に盛り返せるかどうか判断が分かれるところですが、そこそこは期待できると思います。
「イサキ」に関しては、「小イサキ」も含めて相模湾〜伊豆に至る広範囲で漁獲されることからも、今年も大漁が予想され、この時期の重要な白身材料としての地位を確立するでしょう。
「イナダ」などは大型化した個体が周期的に回遊してくることが期待され、一定量の水揚げはあるものと推察できますし、「ウルメイワシ」も同様。「マアジ」に関しては、今年は「小アジ」が主流であるところから、全体量としては昨年を上回る漁獲を期待しております。9月現在、個体の成長も続いており、魚も良い状態であることから、今後の単価的な伸びにも期待したいですね。
また集計時に除外したため、表には記載されておりませんが、ヒラソウダやマルソウダなどの「ソーダ類」の水揚げは当然トップクラスになるものと予想されます。
刺し網の「イセエビ」に関しては、昨年は9月から10月で半減(1.1トン→520キロ)しておりましたが、今年は全体量が多いことから、もう少し期待したいですね。それでも最近は漁獲が減ってきているので、天候とエビのご機嫌次第と言ったところでしょうか・・・?
2008年08月24日
小田原魚市場資料
小田原魚市場近海課
水揚げ・取扱い実績
順 位 | 魚 種 名 | 取 扱 量 |
1 | ヤマトカマス | 36トン |
2 | サ バ | 35トン |
3 | イ ナ ダ | 32トン |
4 | イ サ キ | 20トン |
5 | マ ア ジ | 8.7トン |
6 | ウルメイワシ | 3.6トン |
秋風が吹いてくると相模湾の魚種構成に変化が現れ、アジの漁獲に頼ってきた定置網が口物(くちもの)と呼ばれる様々な魚種の水揚げで稼ぐ時期になります。バラエティに富んだ水揚げは、さながら相模湾の地魚展示会で、細かく選別された魚のセリは競り人泣かせでもあります。
またこの時期は台風や急汐の発生、またクラゲや牡蠣付着などの要因による網被害などが起きる事が多く、漁業者にとって頭を痛める時期であり、冬を前にして仕事の多い時期でもあります。
さて、肝心の水揚げ内容ですが、昨年は記録的なヤマトカマス(小田原ではミズカマス)の漁獲により、堂々1位の水揚げ実績を記録しております。今年もカマスが多くなりそうな気配は8月からしておりますが、今年の場合、多くの魚種に関して例年より早めに獲れ始め、早くに消えていく傾向があり、あまりアテにし辛いかな?と訝る向きもあります。
同じく2位のサバについても今年は7月頃から良い型のサバが揚がり始めておりましたが、今週になって水揚げは激減しておりました。このまま消えると言うことはないにしても、脂の乗ってきたサバだけに、魚市場に並んだ際には相当な人気を集めることが予想されます。「イナダ」に関しては、「ワカシ」からだんだん成長しており、順調な水揚げがありますので、来月もそこそこ期待できそうです。
4位の「イサキ」は台風次第な所がある魚ですが、伊豆方面から大型サイズの入荷が期待されます。
「マアジ」や「ウルメイワシ」は一定量の水揚げが期待されますが、小型が多い今年は、大きさの面で選別が難しいかも知れません。