藤純子の往年の名台詞「上州小政と発します」が頭をよぎる春の朝。
今、魚市場で一番の注目株といえば、春が旬の地魚「ヒラマサ」だ
「ブリ」や「ワラサ」が網の中で入り乱れるこの季節。買受人たちの視線は、場内の魚を鋭く吟味している。
今年は大型の「ブリ」が少ない分、旬の「ヒラマサ」への期待は熱い。20キロ超えも珍しくない巨大魚だが、魚市場で人気なのは「使い勝手」のいい中型サイズより下の所、通称、相模湾の「小マサ」だ。
そんな中、今朝の小田原を沸かせたのは、突如として現れた「イナダ」の大漁。
2キロに満たない「イナダ」の群れを前に、男たちは目を皿にする。「この中に、手頃な”小マサ”が紛れちゃいないか?」と。
漁師も、買受人も、必死の宝探し。けれど、不思議と見つからないものだ。魚の世界にも、相容れない「線引き」があるのか。
と思えば、たまに交雑種が顔を出し、我々をニヤリとさせるのも楽しい。
美味い魚を探し、審美眼を磨く。魚市場に出入りする人間にとって、これほど目が肥える季節はないだろう。
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