第一の罪は「暴食」
「獲れる時に獲り過ぎる」とはつまり、豊漁とは必ずしも豊かさではないと言うこと。
第二の罪は「強欲」
競り人は少しでも高く売りたい。そして買受人は少しでも安く買いたい。この終わりなき綱引きが、魚市場という舞台の原動力。
第三の罪は「嫉妬」
「隣の魚が良く見える」「あっちの定置はアジが大漁」・・・嫉妬が多いのは、良い魚が多いと言うこと。
第四の罪は「憤怒」
人は自然には勝てないと分かちゃいながら、天を恨み、荒れた海に文句を言う。
第五の罪は「怠惰」
魚市場は待つ仕事でもある。待っても魚が来ない日もある。
第六の罪は「傲慢」
「相場は読めると思い込む」ところに隙が生まれ、海は人間の経験を簡単に裏切る。
第七の罪は「色欲」
競り人も、仲買人も、今朝の魚に惚れ込むことがある。しかし、競りに負ければ、その魚は数秒で他人のものになる。
七つの大罪とは、つまりは人間の弱さを表した言葉である。が、魚市場をよく見ると、その罪を犯しているのは人の方ではなく、海なのではないかと思う日がある。豊漁で誘惑し、不漁で試し、相場を乱し、希望を与え、また奪う。それでも人は翌朝になると海へ向かう。
魚市場とは、海という神様の気まぐれと、毎朝向き合う場所なのである。
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